交流試合開始

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 ◆ ◆ ◆ ◆ 森の中に刃がぶつかる金属音が響き渡る。 一定のリズムで響いていたそれは、突如崩れた。 「隙ありっ!」 吼えるセリス。言うや、彼女は地面に膝をつくルミナにエグルーダを突き出す。 対するルミナも焦りを抑え、右に避けながら柄で殴って軌道を逸らす。 そのまま地面を蹴り、セリスから距離をとった。 「むぅ……」 着地したルミナは忌々しげに地面を睨み付ける。 凹凸の激しい地面、所々に飛び出ている樹木の根。地形が悪いのだ。 そのせいで、足場に注意しなければ足を取られる。 先程ルミナが膝をついていたのにはそういう理由があった。 「余所見してる暇はないよ」 その声に顔を上げれば、槍の矛先は目前まで迫っていた。 ――そうだった……! エグルーダの能力は〈伸縮〉。どんなに距離をとっても関係ない。 その情報を今一度頭に叩き込むと、ルミナは屈んで槍を躱して走り出す。 もちろんセリスに向かって一直線に。 「近付きさえすればその能力に意味はない!」 〈伸縮〉の能力は距離があるほどその力を発揮する。逆に言えば、距離を詰めれば使いづらい。 そうなると必然的に元の長さに戻すしか選択肢はなくなる。 互いに武器は中距離。同じ土俵ならば負けないと思い、ルミナは接近戦に持ち込んだ。  
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