交流試合開始

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ルミナが近付いたことにより、セリスは苦々しげに槍を元の長さに戻す。 しかし彼女が易々と接近を許すはずがない。 両手で槍を握って腰を捻り、ルミナに背中が見えるように半身になると、力強く横に一閃。 本来ならば間合いにも入っていないルミナに届くはずもないが、セリスは足りない距離を伸ばして稼ぐ。 意表を突いた攻撃。だがルミナはこの攻撃をしっかりと頭に入れていた。 扇状の軌道に沿って振るわれた斬撃を再び屈んで躱すと、更に加速して一気にセリスに詰め寄る。 けれどその瞬間、セリスの口元がニヤリと吊り上がった。 ――よしっ、掛かった! 振り抜いた状態のまま槍の長さを元に戻す。 その体勢は槍を突き出す構え。 ルミナがそれに気付いたのは、槍が突き出された直後だった。 ルミナと槍の矛先。互いに相手に向かって迫る。 加速した彼女は、矛先が近付くスピードがかなり速く感じた。 おまけに槍の狙う先は腹部。しゃがんでも跳んでも躱せるか微妙な高さ。 縦の移動を封じられたルミナは横に避けるしかなかった。  
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