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「あなたに……」
――あなたにクラッドの何がわかるのっ!
左手に私の魔武器……ホーリーレイを出そうと構えた途端、目の前にいた男の姿が一瞬で消えた。
代わりに、別の人物がそこにいた。
「……シン」
どうしてシンがここに?なんてことは聞かない。
大方私の後をつけて見ていたんだろう。セリス達と一緒に。
「おい、エレナ」
不意に、シンが口を開く。
シンは私を一瞥した後、冷たい眼で、少し離れた所に転がる男を見据える。
「お前が手を出すまでもねぇ。コイツは俺がやる」
「くっ……デヴァイス……」
男はシンに殴られて吹き飛ばされたらしく、片手で頬を押さえながら立ち上がった。
「人の告白の最中に割り込んでくるのは無粋だと思わないのか? 邪魔をするな!」
「邪魔……? 邪魔はテメェだろ。クラッドとエレナの間にはな、お前が入り込む隙なんて少しもねぇんだよ。
これ以上エレナに付きまとうなら俺が相手になるぜ?この“紅蓮の炎者”がな!」
瞬間、シンの身体からオレンジ色の炎と化した魔力が溢れ出す。
「っ!」
その威圧感に圧された男は、目を見開きながら尻餅をついた。
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