交流試合開始

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――魔法の繋ぎ方が上手い。 そんな感想を頭にちらつかせながら、ルミナは防御魔法を展開する。 半透明の長方形の壁を頭上に出現させ、それを屋根にして雨を防ぐ。 一滴一滴が壁に当たる度にそれが震える。 その様子を心配そうに見つめるルミナ。 彼女の意識が頭上に逸れた瞬間をセリスは待っていた。 ルミナへと一直線に伸びるエグルーダ。それは彼女を狙うと言うよりは、彼女を屋根の下から押し出そうと迫る。 「くっ……」 避けるか、防ぐか。ルミナは唇を噛み締めながら思い悩む。 結果、彼女は地面を蹴って横に跳んだ。 勢いよく迫るエグルーダを受け止めれば力負けして押し出される。よく考えれば自ずとわかることだ。 しかし屋根の下から出たにもかかわらず、ルミナの身体が雨に打たれることはない。 それもそのはず。彼女がもう1つ屋根を出現させたからだ。 元々飛び散った水が降り注いでいただけに、その間に雨が弱まる。 これを好機と見たルミナは、多少のダメージを覚悟で屋根の下から飛び出した。 だが、セリスの策はまだ尽きていなかった。  
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