交流試合開始

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ルミナが飛び出したのを確認したセリスはエグルーダを地面に突き刺す。 その瞬間、先程の雨で濡れていた地面が一瞬で凍り付いた。 それはルミナの足元も例外ではない。 「っ!」 一瞬という時間は、ルミナに反応させる時間すら与えなかった。 ――迂闊だった。これでは……。 ルミナは膝下まで凍り付いた自身の足を見る。 痛みはないし、直接凍り付いたわけではない。けれど完全に移動が封じられた。 「【アイスブリザード】」 セリスの追撃は止まらない。 翳した手の指先に現れた魔法陣が回転し、白銀の息吹が吹き出す。 それはルミナが口を開くと同時に彼女の全身を呑み込んだ。 「はぁ……はぁ……」 吹雪が止み、肩で息をするセリスは荒い呼吸を整えながら前方に視線を向ける。 そこには片手をセリスに向けた状態で、周囲の景色共々凍り付いたルミナの姿があった。 「ふぅ……。勝負あり、ね」 凍り付いたルミナが動く気配はない。 セリスは握っていたエグルーダを消すと、ルミナが守っていた森の奥へと歩き出した。  
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