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普段のセリスならば無闇に突っ込まず、〈伸縮〉の能力を使っていたことだろう。
だがルミナの挑発に乗ってしまった彼女は飛び出してから自分の行動に気付いた。
それでも今更止まることはできない。
反撃を覚悟で流れに身を任す。
しかしルミナの取った行動はそんなセリスを困惑させた。
いや、取った行動と言うのもおかしい。そもそもルミナは動いてないのだ。
武器を出すことも構えることもせず、その場から動こうとする気配すらない。
――魔法? それか罠でも仕掛けて?
一瞬のうちに様々な考えが頭に浮かぶ。
だからこそ、冷静になったセリスは槍の長さを少し伸ばす。
その瞬間だった。カツンという小さな金属音が2人の間に響いたのは。
「っ!」
「むぅ!」
唸ったのはルミナ。
セリスは足の裏を思い切り地面に叩き付け、無理矢理に進行を逸らす。
一方ルミナも反射的にその場から跳び退いた。
ただセリスは周りを確認せずに跳んだため、周囲にある樹木の1つに勢いよく突っ込んでしまった。
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