交流試合開始

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セリスの魔法はそれだけにとどまらない。 彼女を光線から守ったものと同じそれがルミナの周囲に高々と噴き上がる。 ――やはり上級魔法には適わないか……。 逃げ道を塞がれたルミナは静かに目を閉じる。 自身が提案した勝負だ。今更防御魔法を使うつもりはない。 自分の使える中で最速の魔法を防がれた。後悔がないと言えば嘘になるし、とても悔しい。 それでもルミナは満足だった。 「もしまた戦う機会があれば、次は発動の早い上級魔法を使えるようにしておくよ」 曇りのない笑顔は水壁の向こう側にいるセリスに見えていたのか、いないのか。 ルミナの身体は全方位から押し寄せる波に呑み込まれた。 「私も……負けるつもりはないよ」 波が引いた後、1人残されたセリスの呟きは静寂の中に消えていった。  
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