43147人が本棚に入れています
本棚に追加
/395ページ
「さぁ、どうする?」
一層眼光を鋭くするシン。
それを受けた男の首筋を汗が伝う。
「く、くそっ!」
やがてシンの威圧に耐えきれなくなったのか、男は私達に背を向けて一目散に逃げ出した。
「次はねぇからな!」
そんな彼の背中に向かって叫ぶシンを見て、思わず笑みがこぼれる。
もしシンが殴り飛ばしてくれなかったら、私はあの人に大怪我を負わせるところだった。
「ありがとう。シン」
私がお礼を言うと、シンは目を逸らして頬を掻きながらこう言った。
「別に、俺が殴りたかったから殴っただけだし」
まったく……誰かさんと一緒で素直じゃないなぁ。
「でも、さすがSSランク“紅蓮の炎者”だね」
シンが口端を吊り上げ、不敵な笑みを浮かべる。
何を隠そう、このシン・デヴァイスが最近巷を騒がせている“紅蓮の炎者”なのだ。
冥界から戻ってきた私達はSランクに昇格し、その後、シンとリオンは積極的にギルドの依頼をこなしていった。
結果、2人はたった数日でSSランクに昇格し、シンに至っては“紅蓮の炎者”という二つ名を得た。
もっとも、シンが依頼をこなす度に自ら広めていただけなんだけどね……。
最初のコメントを投稿しよう!