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「え? え?」
男子は自分の身に何が起きたのかわからず混乱する。
そんな彼の腰に巻き付く糸の束。
それは横にあった樹木を通してレナの指先へと伸びていた。
レナの行動にジークは驚き、攻撃を外したことを察したエミリアも視線を向ける。
「へぇ……」
ジークは仮面の下で口元を緩めた。
そこに、鍔迫り合いをやめたエミリアが跳び退いてくる。
「1人面白い人がいるね~」
彼女の視線の先にはレナ。
エミリアもまた、楽しそうに笑みを浮かべていた。
「なぁ、エミリア」
そんな彼女に声を掛けるジーク。
エミリアは前に視線を向けたまま、何?と訊き返す。
「俺も攻撃に参加していいかな?」
エミリアの視線がジークに向けられた。
だがそれも一瞬のことで、視線はすぐに前に戻る。
本来ならば、攻撃はリオンの仕事だった。エミリアは防御。ジークは2人のサポートという作戦だ。
けれど今リオンはいない。そうなるとエミリアが攻撃に出るしかないのだが、そうなると防御する人がいなくなる。
それなら自分も攻撃に参加した方がいいのでは?とジークは考えたわけだ。
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