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更にそれは軌道上にいた男子をも巻き込む。
竜巻の中で2人の身体が何度か衝突する中、ようやくエミリアが突き刺さっていた斧を引き抜いた。
彼女は後ろを向くや否や、鋭い声を発する。
「ジーク!」
――よしっ!
それを確認したジークは双銃を持ち直すと、盾代わりにしていた壁から飛び出す。
そこで彼が目にしたのは、背後で渦巻く竜巻と同じ魔法、【サンドストーム】だった。
先程エミリアがジークの名前を呼んだのは、合図ではなく危険を知らせる為だったのだ。
そのことに気付いたジークは自身のミスを嘆きながらも動くことをやめない。
飛び出した勢いのまま地面を蹴り、迫る竜巻から逃れようとする。
――間に合うか!?
いや、間に合わない。そう判断したジークは咄嗟に身体を反転させ、地面に向かって銃弾を放った。
被弾した場所から突き出た土の棘。伸びる方向は自分自身。
ジークはそれを宙に跳んだ状態で銃で受けると、その押される力を利用して一気に距離をとった。
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