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さて、そろそろいいかな。
「みんないるんでしょ」
私は少し離れた所にある曲がり角に向かって声を掛ける。
周囲にはそこら辺にしか隠れる場所がないからだ。
案の定、みんなはばつの悪そうな顔でそこから姿を現した。
「アハハ……やっぱりバレてたか……」
「アンタが飛び出すからよ。このバカ!」
「まぁまぁ、ティナ。あれはシンが行かなかったら俺が行ってたよ」
「私も~!」
「…………」
恐らく今までの告白も全て見られていたんだろう。
首謀者は絶対にセリスね。
「ゴメンね、エレナ。みんな心配だったのよ」
私がじとーっとセリスを睨んでいると、彼女はそう言ってきた。
そんなに信用ないかなぁ? 私って。
その疑問を口に出せば、今まで黙っていたリオンが唇を震わせる。
「だが現に今キレそうだっただろう?」
「うっ……」
言い返せない……。
私は逃げるようにため息をつくと、窓ガラス越しに目に映る青空を見上げた。
――クラッド……。一体どこにいるの?
それとも本当にもうこの世界には……。
その問い掛けには、誰も答えてくれない……。
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