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無事に軌道上から逃げることができたジークの目の前を砂嵐が通り過ぎる。
それはそのまま真っ直ぐ進み、男子を捕まえた場所で停滞していたジークの竜巻と正面からぶつかった。
――危なかった……。
もし逃げ切れずに巻き込まれていたら、今頃2つの渦に挟まれて酷いことになっていただろう。
中にいる2人に同情しながら、ジークは残りの3人に意識を向ける。
その瞬間、ビュービューとうるさかった轟音が耳から掻き消えた。
「……え?」
反射的に後ろを向くジーク。
そこには荒れ狂う金色(こんじき)の渦などなく、宙に放り出された2つの人影があるだけだった。
ランスの女子は地面に落ちる前にその場から消え、トンファーの男子は地面に叩き付けられながらも呻きながら立ち上がる。
けれどその時にはジークの視線は3人に戻っていた。
――あの状態であの魔法を消すとなると、渦の回転を逆にして相殺するしかない。だから俺と同じ魔法を使ったのか。誰の攻撃だ?
双銃の男子が放つ銃弾を躱しながら、ジークは一斉に魔法を放ってきた時のことを思い出す。
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