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けれど細剣の剣先がそれで止まるはずがない。銃身を滑りながらジークの喉元に迫る。
ジークはすぐさま剣先を横に逸らすと、その勢いを利用して下半身を持ち上げた。
パキンッと小気味好い音を響かせながら細剣が折れる。
「あぁっ!」
思わずといった様子で声を上げる女子。
ゴメン!と心の中で謝りながら、ジークは彼女の肩に足を置き、安全な場所に向かって跳び退いた。
それと共に、網状だった糸もレナの方へ戻っていく。
ジークは着地すると、時間を置かずに地面に手を突いた。
エミリアも男子が驚いている間に一気に距離を詰める。
「【アースファング】」
「はぁっ!」
女子の両側に盛り上がった牙の形をした土が彼女を挟み潰し、エミリアの振り下ろした斧が男子を切り裂いて地面に突き刺さる。
だが、そんなジークの腕とエミリアの足には三重に糸が巻き付いていた。
攻撃を受けた2人が消え、エミリアの視線が残ったレナへと向けられる。
「残念だったね~。私の足を止めるのがもうちょっと早ければ間に合ったのに~」
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