交流試合開始

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巻き付く糸を切ろうと斧に手を伸ばすエミリア。 その柄を握ったところで、彼女の表情が驚きに染まった。 それはジークもまた同じだった。 お互いに顔を見合わせ、それぞれ糸の巻き付く場所に視線を移す。 ――この糸だ……! 結論に辿り着いたのも同時。 2人共が魔力を込めることができないのだ。 魔力を込められなければ、エミリアは斧を持ち上げることができない。ジークの銃も魔力を撃ち出すため、銃を使えない。 当然魔法も使えるはずもなく、2人は一瞬で窮地に立たされた。 しかし実は、何もできないのは2人だけではない。 ――うぅ……。誰か来てよー! レナもまた、2人を逃がさないために両手に集中しなければならず、魔法など使う余裕はなかった。 せっかく捕まえた手強いリーダーを解放するわけにはいかない。 立場は違えど境遇は同じ3人の視線が絡まる。 境遇が同じ者同士感じるものがあったのか、次の瞬間、3人は一斉に口を開いた。 「誰か来てくれー!」 「誰か来て~!」 「誰か来てよー!」  
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