交流試合開始

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確かに、魔力を気にした戦い方は僕に似合わないような気がする。 恐らく記憶を無くす前の僕は、魔力が切れる前に戦いを終わらせていたんだろう。 だけどそれじゃダメだ。クロスに言われた通り、これからは魔力を気にしながら戦わないと。 いざという時に魔法が使えないと困るだろうし。 そのために武器があるんだから。 「キミの知ってる僕がどんな戦い方だったのか知らないけど、これが今の僕の戦い方だ!」 足に魔力を込めながら地面を蹴る。 魔力を使うけど、魔法を使うより消費はずっと少ない。 近くの樹木に向かって跳び、太い幹を蹴って横から彼に迫る。 勢いをつけて黒龍を突き出すが、しゃがむことであっさりと躱された。 それと共に、彼の姿を見失う。 ――くそ……! 仮面が邪魔だ。 着地してすぐに振り向くと、何故か彼はその場から動いていなかった。 「……眼の力も使わないつもりか?」 「……眼?」 何を言ってるのかわからない。眼の力ってどういうことだ? 「なるほど。本当に全て忘れているらしいな。全属性が使えることに気付いたのも偶然か……」 僕の反応を見て、彼はそう呟いた。  
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