闇の覚醒

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「っ! ハァ……ハァ……」 「あっ、起きた?」 「レイン……」 気付けば、レインが心配そうな表情で僕を見ていた。 今のはやっぱり夢か……。 って、ここは? 辺りを見回すと、そこは森の中なんかじゃなかった。 汚れ1つない白い壁に囲まれた部屋。床には赤い絨毯が敷かれていて、他には小さなテーブルと2つのイス、ベッドが2つあるだけの簡易的な場所だった。 そのベッドの1つに僕は寝ていたようだ。 「酷くうなされてたから心配したよ。大丈夫?」 もう1つのベッドに腰掛けていたレインが訊ねてくる。 レインには悪いけど、今はそんなことどうでもよかった。 「レイン、ここは?」 「あぁ、シルメシアの宿泊施設だよ」 シルメシア!? どうしてシルメシアにいるんだ? いや、それよりも……。 「試合はどうなったの?」 訊かなくてもわかっていた。僕がここにいるのが何よりの証拠だ。でも、もしかしたらと思ってしまう。 「試合は……」 だけど、 「……負けたよ」 現実はそんなに甘くなかった。  
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