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天井のない、城の謁見の間のような場所。
そこに、7人の男女に周りを囲まれ、結界のようなものに閉じ込められた男がいた。
さらに男の頭上にも3人。少し離れた所に1人の少年。
その顔はボヤケていてはっきりとはわからない。
囲まれた男は動けないようで、必死の形相で離れた所にいる少年に向かって叫ぶ。
「わかっ――るのか!?――封印す――は――も消え――ぞ!?」
男の声は途切れ途切れ。
さらにはテレビの砂嵐のように光景までもが歪んできた。
「わ――さ。覚悟――てる」
少年はそう返し、何やら詠唱を唱え始める。
その詠唱はとても長く、しばらくすると男の足に変化が起きた。
消えていくのだ。爪先からゆっくりと、粒子となって。
その現象は詠唱を唱える少年にも起こった。
彼は涙を流しながら魔法を発動する。
「封印魔法……【レクイエム】」
不思議と、その声ははっきりと聞き取れた。
「おのれ、覇王ぉぉぉぉぉっ!」
同時に、閉じ込められていた男は完全に消滅した。
静寂が支配する中、宙に浮いていた3人が音もなく着地する。
そして、その内の1人が口を開く。
「……生きたいか? 主――いや、■■■■……」
――プツンと、突然光景が真っ暗になった。
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