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宿から出ると、一瞬光で目が眩んだ。
目を細めること数秒、ようやく光に目が慣れる。
「ここが……シルメシア」
どこにいても聞こえてきそうな程の人の賑わい。街の中央には、この都市のシンボルであるシルメシア城がそびえ立っている。
さすが王都と言うべきか、ベルリオーズとは活気が違う。
「知識としては知ってたけど、来るのは初めて――」
――ズキッ!
「っ!」
突然頭に激痛が走る。今までも何度かあったけれど、今回のは一段と激しい。
思わず地面に手を付き、もう片方の手で頭を押さえた。
痛みを堪えながら深呼吸を繰り返す。そうすることで、徐々に痛みが和らいでいく。
しばらくして、頭から手を離して立ち上がる。
まだ少し痛みが残ってるけど、最初に比べれば随分マシになった。
――何だったんだ……?
試合のケガが完全に治ってなかったのかもしれない。
今宿に戻るのも気まずいので、とりあえず痛みを我慢して街を歩くことにした。
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