闇の覚醒

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でも、頭痛が治まることはない。それどころか、街を進むにつれて再び強くなってきている。 「ミスったなぁ……。こんなことなら大人しく宿に戻るんだった……」 普通に歩くこともままならなくなってきたので、店の壁に手を付きながら前へ進む。 周りの人達は怪訝な表情で僕を見ながらすれ違っていくけど、今はそんなことを気にしてる余裕はない。 王都の人達は冷たいんだな、なんて考えていた、まさにその時だった。 「うわっ!?」 あまりに大きな揺れ。 ゴゴゴゴという物凄い地響きと共に、周囲の店で何かしらの物が倒れる。 ――地震!? 痛む頭でその原因を考え始めると、唐突にそれは収まった。 まるで何事もなかったかのように辺りが静けさに包まれる。ただ、散らばった商品と消えた賑わいが、さっきの揺れが嘘じゃないことを証明していた。 「何だったんだ……?」 街が別の意味で再び賑わい出す。 そんな中で、僕は近くにいた2人の男性の小さな声を耳にした。 「たった今、ベルリオーズの近くで大量の魔物が出現したとギルドから報告があった。もしかしたらさっきの地震が関係しているのかもしれない」 「そうか。一般人に気付かれないようにしろよ」 言うや、彼らは別々の方向へ歩き出す。 ――ベルリオーズに……魔物……!?  
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