闇の覚醒

15/39
前へ
/395ページ
次へ
 ◆ ◆ ◆ ◆ 「行ったわね……」 1人になったリン・クレミアは、晴れ渡る空を見上げながらそう呟く。 特徴に欠ける顔立ちの女性だ。 特に目立ったパーツはないが、かと言って欠点があるわけでもない。 髪も腰まで伸びる黒髪のストレート。 まさしく、普通。強いて言えば、特徴がないのが特徴と言える。 けれど、この姿は彼女にとって好都合だった。 良くも悪くもないので目立つことはない。 しかし、 「私もいつまでも傍観してるわけにはいかないか……。あの子には頑張ってもらわないとね」 身を翻した時には、すでにそこに彼女の姿はなかった。  ◆ ◆ ◆ ◆ 「リオン、どういうこと!?」 未だ消えることのない戸惑いを胸に抱えたまま、私はリオンに掴み掛かった。 ここはベルリオーズにある宿泊施設の一室。 試合が終わった後、折角だからということで、一泊だけお互いの都市を観光することになったからだ。 けれど、今の私は観光どころではなかった。 「落ち着け、エレナ」 「落ち着けですって!? これが落ち着いていられる!? ちゃんと説明して! リオンと戦ってたのは……クラッドなんでしょ!?」  
/395ページ

最初のコメントを投稿しよう!

43148人が本棚に入れています
本棚に追加