闇の覚醒

17/39
前へ
/395ページ
次へ
一度ため息を吐いたリオンは、視線を逸らしながら諦めたように口を開いた。 「エレナの言う通り、あれはクラッドだ……」 ――やっぱり! その言葉を聞いて胸が高鳴る。 生きてた。生きててくれた。 零れそうになる涙を拭ったところで、私はおかしなことに気付いた。 生きていてくれたことは嬉しい。でも、それならどうしてローレンツ学園にいたの? それはみんなも同じだったのか、喜びの中に戸惑いが見られる。 「落ち着いて聞いてほしい。特に、エレナは……」 その反応を予想していたかのように、リオンは続きの言葉を紡いだ。 「記憶がないんだ。今のアイツには」 ……え? リオンは今何て言った? 記憶がない? それってつまり、私のことを覚えて……ない? 「嘘……」 全身から力が抜けていく。そのまま床に膝を付くと、慌てたようにセリスが駆け寄って来てくれた。 「エレナ、大丈夫!?」 私が小さく頷くと、珍しくセリスがリオンを睨み付けた。 「リオンは知ってたんでしょ? どうしてもっと早くに教えてくれなかったの?」 その問い掛けに対しての彼の返事は早かった。 「こうなることがわかってたからだ」  
/395ページ

最初のコメントを投稿しよう!

43148人が本棚に入れています
本棚に追加