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一度ため息を吐いたリオンは、視線を逸らしながら諦めたように口を開いた。
「エレナの言う通り、あれはクラッドだ……」
――やっぱり!
その言葉を聞いて胸が高鳴る。
生きてた。生きててくれた。
零れそうになる涙を拭ったところで、私はおかしなことに気付いた。
生きていてくれたことは嬉しい。でも、それならどうしてローレンツ学園にいたの?
それはみんなも同じだったのか、喜びの中に戸惑いが見られる。
「落ち着いて聞いてほしい。特に、エレナは……」
その反応を予想していたかのように、リオンは続きの言葉を紡いだ。
「記憶がないんだ。今のアイツには」
……え?
リオンは今何て言った?
記憶がない?
それってつまり、私のことを覚えて……ない?
「嘘……」
全身から力が抜けていく。そのまま床に膝を付くと、慌てたようにセリスが駆け寄って来てくれた。
「エレナ、大丈夫!?」
私が小さく頷くと、珍しくセリスがリオンを睨み付けた。
「リオンは知ってたんでしょ? どうしてもっと早くに教えてくれなかったの?」
その問い掛けに対しての彼の返事は早かった。
「こうなることがわかってたからだ」
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