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「結局他力本願かよ」
シンが笑いながらそう言うと、リオンは微笑したまま、降参するように両手を上げた。
「どうやら俺達に会ったぐらいじゃ変化はないらしいからな。あるとすればエレナ、お前だけだ」
リオンの紅い眼が私に向けられる。
それは普段セリスに向けているような優しい眼差し。
「そりゃそうだろ」
「なんたってクラッドの恋人だしね」
「それはそれで悲しいけどな」
「それだけ2人が通じ合ってるってことだよ~」
シンも、ティナも、ジークも、エミリアも。
そして、
「エレナ……」
私の言いたいことをわかっているかのように、セリスは笑顔で頷いてくれる。
だから、決心した。
「リオン、私をシルメシアに連れて行って」
左手の薬指にある指輪に触れる。
クラッドの話によれば、これはリンさんが“お互いを思い出すように”という想いで名前を彫ってくれたらしい。
きっと思い浮かべるという意味だったんだろうけど、残念ながらそんなレベルは超えてしまった。
だからこそ、自分の力でどうにかしないと。
もう待つのはたくさん。手を伸ばせば届く距離にいるんだから、これ以上遠ざかってしまう前に捕まえたい。
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