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「お前を連れて行くと俺は帰ってこれないんだが……」
リオンは困ったように口を開く。
それは承知してる。リオンはまだ自分の部屋にしか転移できない。必然的にここに戻ってくることはできなくなる。
「お願い!」
私は後ろの景色が見えるぐらい深く頭を下げた。
今行かないと絶対後悔する。後悔なんてしたくない。
「……フッ、冗談だ。頭を上げろ」
そんな言葉と共に、リオンの手が私の右肩に置かれた。
言われた通り頭を上げる。
「準備はいらないだろう?」
「もちろん!」
強く、深く、頷く。
それが合図だったかのように、彼はクラッドみたいに指を鳴らした。
「【転移】」
瞬間、身体中を電流が駆け巡ったかと思うと、私達は弾き飛ばされていた。
「っ!」
「きゃあ!」
私は運良く備え付けのベッドへ。リオンは壁にぶつかるところを、咄嗟に割って入ったシンに受け止められていた。
「ど、どうしたんだよ!?」
驚いたジークが私達を交互に見返す。
そんなの、私が訊きたい。
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