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思わずリオンに視線を向けると、彼は額に手を当てながらため息を吐いていた。
「忘れていた……」
何が?と訊こうと口を開きかけたけど、どうやらその必要はないみたい。
「アハハハハ、2人共急ぎ過ぎだよ~。ベルリオーズじゃ転移はできないんだよ~?」
笑いながら事情を話してくれたエミリア。
彼女の話によると、ベルリオーズの外壁は結界の役目もあるらしい。
入るには東西南北に位置する門を通るしかない。これは外からの侵入と内からの逃走を防ぐためだとか。
知ってたのならもっと早くに教えてくれれば良かったのに。
なんか恥ずかしい……。
「それじゃあベルリオーズから出ればいいってことか?」
ジークが訊ね、エミリアが頷く。
「だったら早く行こう。時間がもったいない」
気恥ずかしさを誤魔化すために、急いで部屋を出ようとドアの取っ手に手を掛けた時だった。
「きゃっ!」
突然身体がふらつき、取っ手を支えにしながら膝を付く。
けれどそれは、私の体調が問題なんかじゃない。
――地震!?
ゴゴゴゴという物凄い地響きと共に、部屋にある家具が次々と倒れていく。
その様子を何となく眺めていると、唐突に揺れは収まった。
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