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その様子を苦笑しながら眺めていた時、
「ギルドの者だ! 道を開けてくれ!」
鋭い声を発しながら、数人の男女が私達の前を通り過ぎていく。
彼らの表情にあるのは、焦り。
「おい、リオン」
「あぁ。何かあったな」
最近よくギルドに顔を出している2人は真剣な顔付きで彼らの後ろ姿を眺めていた。
原因は間違いなくさっきの地震ね。
「で、どうする?」
私は答えのわかりきった質問を投げ掛ける。
「そりゃ、行くしかないでしょ」
セリスの返答に全員が頷く。
決まりね。
「じゃあ行こう」
彼らの後を追おうと駆け出した私だけど、誰かに肩を掴まれたおかげでその行動は止められた。
リオンだ。
「クラッドはいいのか?」
その問いに少しだけ考える。そう、ほんの少しだけ。
「これが片付いたら行くよ?」
肩を掴むリオンの手が緩んだのを確認して再び駆け出す。
あの焦り様からして只事じゃない。
仮にシルメシアでクラッドを見つけられなかったとして、もしクラッドがここにいられなくなるようなことになれば、また行方を捜すことになる。
折角見つけたのに、それは嫌だ。
だからどんなに小さな不安も排除する。
それが、私の出した答え。
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