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「あのおじさん達……見かけによらずいい人だったね」
門を通り抜けた後、色とりどりの花が植えてある花壇やそれほど大きくない木がある並木道を歩きながら、僕は横にいるレナ達に話し掛ける。
「だよね。私達も最初は恐かったんだけど、毎朝会ってたら慣れちゃった。
あのおじさん達の勤務時間と私達の通学時間は重なってるからこれから毎日会うことになるよ」
――毎日か……。まだ慣れてないからちょっとキツいな。
「転移魔法が使えればわざわざ門を通らなくて済むのに」
僕がため息混じりにそう言うと、レインは清々しいほどの笑顔で僕の肩を叩いてこう言った。
「残念ながら、ベルリオーズの壁は結界でもあるんだ。だから転移魔法での出入りは不可能だよ。まぁ、街の中だけでなら可能なんだけどね。
突破できるのはXランクの人達ぐらいだと思うよ」
ハハハ……仕方ないか。これも人付き合いだしね。
そう思って視線を前方に戻す。
並木道も終わりが近付き、街の様子が見えてきた。
そして、
「ようこそ、ベルリオーズへ」
レインが街の方へ手を向ける。
主に白を基調とした建物が多く、街灯やレンガ造りの塀、奥へと続く階段や街の地図までもが目に映った。
知識としては知っていたけど、さすがシルメシアに次ぐ大きさだ。
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