張り詰めた休息

4/18
43144人が本棚に入れています
本棚に追加
/395ページ
「ただいま……」 「おう、遅かったな。さては寝てるエレナに――って、どうした!? なんかやつれて見えるぞ、お前」 リオンの部屋に帰ってきた俺の顔を見るや否や、シンは座っていたイスと共に退きながら驚きを露わにする。 まぁ仕方ない。ここに戻ってくるまでに一騒ぎあったから。 俺の部屋を出た後、下に降りようとエレベーターを待っていた。 思えばここが地獄の始まり。上の階から降りてきたエレベーターには先客がいて、俺を見るなり、 「……クロムウェル!?」 や、 「生きてたのか!?」 など、みんな目を見開きながら驚いていた。 突然帰ってきたんだから驚くのはわかる。でも後者の台詞は酷くないか? 騒ぎを聞き付けた部屋の住人も出てきてさぁ大変。 舌打ちするヤツもいれば質問責めをしてくるヤツもいた。 黒コートを着たままだったのも災いし、おかげで精神的に大ダメージを受けて逃げてきたわけだ。 「あぁ……。そういやクラッド死亡説が噂になってたからな……」 俺の話を聞いたシンは頭を掻きながらそう漏らす。 そんな噂が流れてたのかよ……。  
/395ページ

最初のコメントを投稿しよう!