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というわけで、やってきたのは木製の大きな扉の前。
扉の上の方にあるプレートには“学園長室”と書かれてある。
つまりそういう場所だ。
「それじゃ、行くよ」
そう言うや否や、レナは強めに3回扉をノックする。
「入りなさい」
中から聞こえてきた老人のような声を耳にして、僕の心臓は飛び出しそうな程ドキドキし始めた。
「失礼します」
「失礼します」
「し、失礼します」
レナ達は変に緊張することなく部屋に入り、僕は堅い動きで後に続く。
部屋の中は広く、赤い絨毯が敷かれ、真ん中にある小さなテーブルを挟んでソファーが2つ。その近くに横長の机があり、周りの棚には様々な資料が入っていた。
「レイン・ルーガーとレナ・アルシュタートです。昨日話した少年を連れて来ました」
レインの話に反応するように、イスに腰掛けていた人物が立ち上がる。
肩下まである白髪と胸元まで伸びる白い顎髭。
やや垂れ目の優しそうなお爺さんだった。
「2人共ご苦労じゃった。彼はワシに任せてキミ達は教室に行きなさい」
「わかりました。じゃあクラッド、また後でね」
「同じクラスだといいね」
そう言い残し、2人は静かに学園長室を出て行った。
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