ローレンツ学園

19/39

43147人が本棚に入れています
本棚に追加
/395ページ
教室内はホールのように段々になっていて、曲線状の長い机が一定の間隔で並んでいた。 一番前にある教卓に近いほど低い。 何より、教室内の全ての視線が僕に向けられている。 誰も声を発さない。誰も視線を外さない。 何とも言い難い重い雰囲気の中、教卓まで歩を進めた。 「じゃあ自己紹介して」 僕は頷き、口を開く。 「クラッド・アルシュタートです。わからないことばかりで皆さんに迷惑をかけると思いますが、これからよろしくお願いします」 言い終わって気付いた。本日何度目かのざわめき。 主に“アルシュタート”の部分でだ。 「はいはい、静かに。みんなの思ってる通り彼はレナさんの親戚よ」 先生の言葉を聞いて、クラスのみんなはある方向に視線を向ける。 廊下側の真ん中辺り。 そこに見知った人物を2人見つけた。 「ア、アハハ……同じクラスでよかったよ」 「みんなの視線が……」 レインとレナは気まずそうに手を振ってくる。 うん、わかるよその気持ち。 「それじゃあクラッド君の席はあの2人の隣ね。みんな拍手」 席に着くまでの間、僕はずっと拍手を浴び続けた。  
/395ページ

最初のコメントを投稿しよう!

43147人が本棚に入れています
本棚に追加