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教室内はホールのように段々になっていて、曲線状の長い机が一定の間隔で並んでいた。
一番前にある教卓に近いほど低い。
何より、教室内の全ての視線が僕に向けられている。
誰も声を発さない。誰も視線を外さない。
何とも言い難い重い雰囲気の中、教卓まで歩を進めた。
「じゃあ自己紹介して」
僕は頷き、口を開く。
「クラッド・アルシュタートです。わからないことばかりで皆さんに迷惑をかけると思いますが、これからよろしくお願いします」
言い終わって気付いた。本日何度目かのざわめき。
主に“アルシュタート”の部分でだ。
「はいはい、静かに。みんなの思ってる通り彼はレナさんの親戚よ」
先生の言葉を聞いて、クラスのみんなはある方向に視線を向ける。
廊下側の真ん中辺り。
そこに見知った人物を2人見つけた。
「ア、アハハ……同じクラスでよかったよ」
「みんなの視線が……」
レインとレナは気まずそうに手を振ってくる。
うん、わかるよその気持ち。
「それじゃあクラッド君の席はあの2人の隣ね。みんな拍手」
席に着くまでの間、僕はずっと拍手を浴び続けた。
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