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「げっ……とは何だ、レイン」
クロスと呼ばれた少年はジト目でレインを見据える。
「だってクロスが関わるとろくな事がないんだもん。どうせクラッドが目立ってることを妬んでるんでしょ?」
言うや否や、彼は立ち上がり、吠えた。
「当たり前だっ!」
がやがやと騒がしかった教室は一瞬で静まり、教室中の視線が彼1人に向けられた。
そんな中、クロスは片足を机の上に乗せ、拳を握り締めて語りだす。
「目立つということは普通より際立っているということだ。それはつまり――」
「コラッ、クロス! 机に足を乗せるなっていつも言ってるでしょ!」
……リディア先生の怒鳴り声が耳に響いた。
僕はその言葉で理解する。
――この人が先生の言ってた人だ……。
と。
注意されたクロスは顔をしかめると、ゆっくり机から足を降ろす。
――ちゃんと降ろすんだ……!
「それはつまり、凡人より秀でているということ。――」
尚も続くクロスの熱弁を余所に、僕は隣にいるレインに問う。
「あの人誰?」
「彼はクロス・レイヴェルト。この学園で上位の実力をもつ生徒だよ。一言で言うなら……」
「だから目立っていいのはこの俺様だけだ!」
「――俺様だね」
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