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「こうなったら決着をつけないと気が済まねぇ」
「何でそうなるの!?」
「着いて来い。丁度次の授業は魔術だしな」
僕の発言を一切無視したクロスは意気込みながら立ち上がる。
レインの言った言葉の意味を理解したような気がした。
「え、えっと……」
やる気満々のクロスを見て、どうしようか焦っていると、何処からか飛び込んできたレナの声。
「ちょっとクロス! 無茶言わないでよ。クラッドがクロスに勝てるわけないじゃん!」
「うぐっ!」
レナの言葉が胸に突き刺さった。
――それは記憶がないからだよね? いや、そう思いたい……。
「先生も何か言ってください」
レナは教卓でこの状況を眺めていたリディア先生に助けを求める。
しかし先生は顎に手を添えて何かを考える素振りを見せ、数秒後、ゆっくりと口を開いた。
「いいんじゃないかしら。クラッド君の実力もわかるし、相手がクロスなら申し分ないでしょ。
それに、ちょっと気になることもあるの」
終わった……。先生が許可してしまったらやるしかないじゃないか。
「ほらほら、許可が出たぜ。行くぞ」
クロスに無理矢理立たされ、僕はどこに向かっているのかもわからずに腕を引っ張られ、教室を飛び出した。
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