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「っ!」
放たれた銃弾は、咄嗟に横に跳び退いた僕の右側を通り抜ける。
一安心する間もなく、次の銃弾が放たれた。
「くっ……」
再び横に跳んで躱し、そのまま壁に沿って駆け出す。
何故か考えるより先に身体が動いた。
――とにかく、何とかして近付かないと……。
思考を働かせながら更に3発の銃弾を躱す僕。
今ので5発。リボルバー式の銃なら残りはあと1発のはず。
その瞬間、6発目の銃弾が僕の背後を通り過ぎた。
――今だっ!
足を捻り、急転換。真っ直ぐクロスに突っ込もうとした時だった。
響く銃声。足下の地面には小さなヒビ。黒銃を向けるクロスがニヤリと口端を吊り上げたのがわかった。
続けて8発目、9発目と放たれる銃弾。
僕は止めていた足を動かし、再びクロスの周りを走る。
リボルバーに騙された……。魔力で銃弾を撃ち出すタイプだったのか。
「どうした、転入生。逃げてばかりじゃ勝てねぇぜ?」
尚も撃ち続けるクロスは余裕の笑みを浮かべる。
確かにクロスの言う通りだ。だったら――
「それじゃあ行かせてもらうよ。【ウィンドフロウ】」
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