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僕の身体を包むように、静かな風が周囲に集まる。
「何だよ……失敗か?」
でもクロスには見えていない。
これは風の流れを操る魔法。普通ならそれだけだけど、飛び道具に対しては上等な効力を発揮する。
その効力というのが、
「なっ!? 弾が逸れやがった」
「そういう魔法なんだよ」
そう言うと同時に駆け出す。
クロスはいろんな場所に撃ってくるけど、風の流れを自由に操る僕にとっては無駄。
あっという間に間を詰めた僕は、右腕を引き、掌に魔力を込める。
そしてそれをクロスに――
「【エアインパクト】」
――叩き込んだ。
「ぐっ……」
宙を舞うクロスの身体。
でもおかしい。今の手応えは……。
僕の考えは正しかった。
クロスは空中で一回転し、キレイに着地する。
「なかなかやるじゃん」
彼の身体は無傷。空中にいたから魔法陣の発動はない。
――となると、やっぱりあの黒銃に防がれたか……。
クロスはクルクルと黒銃を回すと、何故か手中から消す。
その行動に、僕は思わず首を傾げた。
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