ローレンツ学園

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いや、今は闘いに集中しよう。 恐らくクロスはこの防御魔法を解くと同時に攻撃してくるはずだ。 だからこの時間はクロスが詠唱する絶好のチャンス。 ――となると……こっちも魔法を解くと同時に発動の早い魔法を放つしかないな。 僕の頭に浮かんだ魔法は【エアスラッシュ】。 腕を振る動作が必要なものの、相手に向かっていくスピードは速い。 その魔法に決めた矢先、突然目の前の竜巻の壁に“穴”が開いた。 「っ!」 正確には1m程の大きさの黒い球体。それが壁を突き抜け、穴が開いたように見えたわけなんだけど……。 おかげで壁は消え、僕を守っていたものは無くなった。 反射的に横に転がり、黒い球体をやり過ごしてクロスを見る。 「上級魔法を詠唱破棄したことには驚いたが……使うだけなら俺様にもできるぜ。同じ上級で詠唱のありとなし……どっちが打ち勝つかなんて考えるまでもねぇだろ?」 クロスの言う通り、詠唱破棄は詠唱した時と比べてわずかに威力が下がる。 その分、魔力を込めれば減少はなくなるんだけども、上級を放つ際にそんな余裕はないし、勝手に身体が動いたために発動の魔力しか込めていなかった。 無限の魔力でもない限りキツいだろう。 そして上級の防御魔法という安心感から来た油断。 そこを突いてきたクロスはやっぱり強い。  
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