目覚めと出会い

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『えっ……?』 2人の声が重なった。 「アハハハ……面白い冗談だね……」 「…………」 「……ホントなの?」 その問いに僕は頷く。 信じてくれた2人は互いに顔を見合わせ、その視線は再び僕へ。 「ホントに何もわからないの?」 レインが問う。 「うん。気がついたらここにいたから……」 「記憶喪失か……。確かにキミを見つけた時は酷いケガだったからね。熱もあったし、理由は十分に考えられる」 レナは腕を組んで何かを考えはじめ、部屋は静寂に包まれた。 ――どうしよう。これってやっぱり僕のせいだよね……。 気まずい空気をどうしようか考えていると、今まで黙っていたレインが口を開いた。 「ねぇ、その指輪は?」 「えっ? あぁ、コレか」 左手を少し持ち上げ、薬指にはまっている指輪を見る。 宝石のない、シンプルな銀色の指輪を……。 食事の時に気付いたけど、とても大切な物だと感じた。 「覚えてないけど、大切な物だよ」  
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