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僕が駆け出したのとクロスが駆け出したのはほぼ同時。
お互い真っ直ぐ、相手に向かって走る。
その途中、僕はクロスから見えないように右手を後ろに隠し、魔力を込めていく。
そしてお互いの間合いに入った瞬間、先に攻撃してきたのはクロスだった。
左手を固く握り締め、的確に顔面を狙ってくる拳。
僕は足を曲げ、頭を下げてそれを躱すと、隠していた右手を思い切り突き出す。
「【エアインパクト】」
だけど、それは頭に加わる重みと共に虚しく空を突いた。
「なっ!?」
一瞬何が起きたかわからなかったが、目の前から消えたことと頭の重みですぐに理解する。
クロスは僕の頭に手を置いて頭上を飛び越えたんだと。
「終わりだ。【ダーク――」
「【フィールツイスター】」
咄嗟に放った上級魔法。
竜巻の壁はドーム状に広がるため、後ろにいたクロスは風に吹き飛ばされてフィールドの壁に叩き付けられた。
「ぐっ……」
ズルズルと地面に尻餅をつくクロス。
それもわずか数秒。魔法陣の効果により、汚れた制服も元通り。
立ち上がったクロスは鋭く僕を睨み付けてきた。
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