43148人が本棚に入れています
本棚に追加
「へぇー。ちょっと見せてくれない?」
僕は指輪を外し、レナに渡す。
「左手の薬指ってことは誰かと婚約でも――ん?」
するとレナは何か見つけたのか、首を傾げながら呟いた。
「エレナ……クラッド……? ねぇ、これってキミの名前じゃないの?」
そう言って彼女は僕に指輪を返す。
「どれどれ?」
レインと一緒に指輪の内側を見てみると、確かに人の名前が刻んであった。
「それじゃあキミの名前は……クラッド?」
たぶんそうだろう。
このエレナという名前……知ってるような気がするから。
――そうか。レナの名前を聞いて懐かしいと感じたのはこの人を知ってたから……。
「そうみたいだ」
「じゃあこの人ならクラッドのことを知ってるんだね」
つまり、このエレナという人に会えば僕の記憶は戻るかもしれないってことか。
「記憶の鍵を握るのは恋人……か。なんかいいじゃない」
レナは頬に手を添えながら声を弾ませる。
そういえば、恋人と言ったら……。
「2人は恋人なの?」
僕の言葉に2人は一瞬固まった。
最初のコメントを投稿しよう!