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「でもまさかクロスが本気を出すなんてね」
「ちょっと待った! 俺様はまだ本気じゃなかったぞ」
レインの言葉にクロスが食ってかかる。
確かに武器は使ってなかったな。
「でも、僕が負けたことには変わりないよ」
その言葉にみんなが黙り込む。
レナもレインも何か言いたそうな表情だけど、その口は開かない。
しかし、
「なに落ち込んでんだよ。相手がこの俺様だったんだ。負けて当然だろ」
最初に声を掛けてくれたのは、意外にもクロスだった。
内容はちょっとあれだけど……。
「それにな、お前は魔力を使い過ぎなんだよ。あんな連続で魔法を放つわ、上級魔法を多用するわ、武器は出さないわ……。んなもん魔力切れを起こして当たり前だ。
今までどんな戦い方をしてきたんだよ……」
クロスは呆れたような表情でため息をつく。
――そう言われても……あれは身体が動いたって言うか、魔力がたくさんあるような感覚だったし……。
「普通気付くだろ。無限の魔力じゃあるまいし」
事実なだけに反論できない。
そんな時、僕とクロスの間に立っていたルミナが僕の肩に優しく手を置く。
「まぁまぁ、それはこれから気を付ければいいさ。クロスも偶には良い事を言うんだな」
「惚れたか?」
「どうだろうな」
ルミナは肩をすくめると楽しそうに笑った。
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