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豪華とは程遠かった夕食の翌日。
寝過ごして遅刻……なんてイベントもなく、僕とクロスはゆったりと登校していた。
同じ制服を着てる人達がこっちを見てるのは気のせいかな……?
「なぁ、あれって噂の転入生とクロス……だよな?」
「あぁ、何であの2人が一緒なんだ?」
……気のせいじゃなかった。
しかしクロスはそんなこと気にせずに歩いていく。
気にならないのか訊ねたら、興味ない……だ。
そんな時、
『キャー! クロス様ー!』
突如耳に届く、複数の黄色い声。
見ると、同学年と思われる女子の集団が頬を朱に染めながら手を振っていた。
途端、クロスの表情が緩む。
――興味ないって、“男には”興味ないって意味だったのかも……。
なんだか懐かしい感覚だ。前にも同じような人がいたのかもしれない。
僕が物思いにふけっていると、一際大きな歓声が聞こえてきた。
意識を戻し、原因であろう人物に視線を送る。
クロスが手を振り返していた。それも、笑顔で。
それだけで、固まって動かない者、顔を真っ赤にして倒れる者、目をハートにしながら歓声を上げる者、といろいろだ。
「……すごっ」
思わず声が漏れた。
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