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その日、私達はギルドからの呼び出しという理由で学園をサボり、朝からギルド“沈まぬ太陽”に顔を出していた。
目の前には、先の戦いでXランクに昇格した、“冷青の氷姫”ことフィアさんが、机に肘をつき、組んだ指に顎を乗せた状態で真剣な表情をしている。
そんな中、私は確認の意味を込めて、今言われたことを聞き返す。
「任務……ですか?」
「えぇ。ベルリオーズは知ってるわね?」
その問いにみんなが頷き、代表でジークが口を開いた。
「この王都に次ぐ大きさの都市で、魔石の原産地で有名な所ですよね?」
フィアさんは頷き、続きの言葉を紡ぐ。
「その採掘場所がベルリオーズの近くにある洞窟なの。で、そこに魔石を取りに行った商人が帰ってこないって報告があってね。あなた達に行ってきてほしいのよ」
全員、ため息。
何と言うか、拍子抜け?
――わざわざ朝から呼び出されたからどんな内容かと思ってたのに……。
「どっかで道草でも食ってんじゃないッスか?」
「アンタにだけは言われたくない台詞ね、それ」
みんなも同じ気持ちらしく、場の緊張は一気に解けてしまった。
けれど、それもフィアさんの次の言葉で元に戻ることになる。
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