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奥へ進むこと数分。
照明代わりに使っていた光に反応したのか、周囲の壁が青白く輝き出す。
ふと、私達が明かりを消すと、その輝きが洞窟内を照らし、とても幻想的な空間が姿を現した。
所々が壁とは違う色の輝きを放っていて、まるで星空みたい。
「綺麗……」
思わず感嘆の声が漏れる。
私達女性陣が見とれる中、リオンは壁に手を突いて何かを調べ始めた。
「どうしたの、リオン?」
それに気付いたセリスが声を掛けると、リオンは納得したように頷いて口を開く。
「どうやらこの壁から魔石が採れるようだ」
その言葉に誰よりも早く反応したのはシンだった。
「マジか!? なら少し持って帰って売れば――」
「空気を読めっ!」
ティナがシンの頭を叩き、洞窟内に乾いた音が反響する。
夫婦漫才ですか……羨ましい。
っと、いけないいけない。
そういうことは考えないようにしないと……。
「残念だが、魔石の販売権は商人にしか与えられない。お前が持って帰っても一銭の得にもならないぞ。
大体、金なら最近ギルドで稼いだものがあるだろう」
「はいはい、ストップ。今は進むことが先」
見かねた私は手を叩きながら中断させ、一行は奥へ進むことを再開した。
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