43147人が本棚に入れています
本棚に追加
「う~ん……」
唸りながら悩むシン。
勘でいいって言ってるのに……。
「迷ったらとりあえず左だ!」
そう言ってシンが指差したのは、言葉の通り左。
とりあえず道も決まって、これから進もうとした、まさにその時。
「む?」
「ん?」
リオンとシンの2人が何かに反応し、纏う雰囲気が変わる。
「何だ、この音……?」
続いてジークも。
――音?音なんて聞こえないけど。
そう思いながらも、私は耳を澄まして音を拾おうと集中する。
すると、聞こえた。
小さい音だけど、段々はっきりと認識できるぐらい大きくなっていく。
ギシギシギシギシギシギシギシギシギシギシギシギシギシギシギシギシ……。
まるで何かが擦れるような音。
――近付いて来てる!?
「何か来る! 気を付けろ!」
シンが叫び、私達は各々武器を構える。
音が聞こえるのは目の前の分かれ道から。
右か左かはわからないけど、どっちかで間違いない。
睨み付けるようにそこを見ること数秒。
ついに音の正体が姿を現した。
最初のコメントを投稿しよう!