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青白い光に照らされて不気味に輝いている甲殻。
それは丸みを帯びていて、殻の下には細い脚が何本もあり、頭部の赤く光る目がこっちを見てる。
大きさは私達人間より少し大きく、更に不気味さが増した。
そして何より、その数。
左右の道からそれぞれ3体ずつ、細い脚をいくつも動かして現れたからだ。
6体……。そこまで多いわけじゃないけど、見たことない魔物だから油断はできない。
「うわぁ……キモッ!」
「どっちに進んでも関係なかったみたいね」
ボソッと呟くエミリアとセリス。
武器を握る力を強くすると同時に、1体の魔物が飛び出してくる。
私達は左右に跳び退き、擦れ違い様にそれぞれの攻撃を叩き込んだ。
リオンとティナとエミリアは斬撃を、シンは打撃を、セリスは突きを、ジークは銃弾を、私は矢を。
けれど、その攻撃が届くことはなかった。
みんなの攻撃は、あの不気味な甲殻に防がれたからだ。
――硬い……!
敵はそのまま止まることなく進み、私達が通って来た道に入ってしまう。
「しまった! アイツを外に出すな!」
遠距離の私とジークが銃弾と矢を連射したけども、全て硬い殻に弾かれてしまった。
しかも残りの5体までもが動き出し、追いかける余裕はない。
完全に逃がした。
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