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矢が真っ直ぐ敵に向かっていく最中、ホーリーレイの能力で矢の軌道を変える。
2本の矢は別々の方向に曲がり、目印の赤く光る両目を射抜いた。
それだけにとどまらず、矢はそのままの勢いで目から体内に侵入し、暴れ回る。
敵の叫び声ともつかない音が洞窟内に反響する中、私は敵の体内にある矢を外に向かって導く。
刹那、緑色の液体を飛び散らしながら、白い矢が殻を突き破って内側から飛び出した。
――あの殻……内側は柔らかいんだ……。
「ナイス、エレナ。後は任せて!」
言うや否や、セリスは敵に人差し指を向け、叫ぶ。
「【アイスショット】」
セリスの指先から放たれたのは銃弾ほどの大きさの氷。
それが私の空けた穴から体内に入ったかと思うと、次の瞬間、魔物の身体も、周囲の地面も、全てが一瞬で凍りついた。
「凍らせちゃえば、どんなに硬くても関係ないよね」
セリスは槍の柄の方を上にして、頭上に振り上げる。
「美しく散りなさい……なんて、師匠の真似」
それを力強く振り下ろし、氷像と化した魔物を粉々に砕いた。
1体終わり。
「やったね、エレナ」
「うん!でもセリス、師匠って?」
私はふと思った疑問を訊ねる。
まぁ、答えは1人しか思い付かないけど。
「私、あの戦いが終わってからすぐにフィアさんに弟子入りしたの。まだまだ修行不足だけどね」
やっぱり……。
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