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修行の辛さを語り始めたセリスを余所に、私は周りを見回す。
見回したんだけど、みんなも既に戦いを終えていた。
シンが相手をした魔物は、頭部の殻を砕かれ、緑色の血を滴らせながらピクリとも動かない。
どこからどう見てもごり押しだとわかる。
シンらしいって言えばシンらしいんだけどね。
ジークの相手は、地面から隆起した土の棘に串刺しにされていた。
下から突き出た棘が、内側から殻を突き破って真っ直ぐ上に伸びている。
どうやら下からの攻撃も効くみたい。
エミリアとティナが戦った魔物は……相手が悪かったね。
まるで殻なんて存在しないかのように身体中を斬り刻まれていた。
まぁ、当然かな。
重力を加算した重い一撃を放てるエミリアのソウルアックスと、高熱の炎を刃の形に凝縮したティナのフラムルージュ。
この2人の武器なら、あの程度の甲殻なんて、叩き斬るか焼き斬ることは造作も無いだろうし。
そして、リオン。
リオンの相手をした魔物は、特に変化は見られない。
それでも動く気配がないどころか、生きてる気配が感じられない。
たぶん、精神にダメージを与えるような魔法を使ったんだろうね。
闇属性ならそんな魔法があるだろうし。
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