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その時、みんなの前に飛び出した2つの人影。
「ジーク、私達で食い止めよう!」
「あぁ! ヤツらは下からの攻撃が弱点だ」
2人はしゃがみ込んで地面に手をつき、魔力を手に流しながら、はっきりと言葉を紡いでいく。
『大地よ、その爪、その牙をもって、我をあだなす敵を滅ぼさん……【グランドクロス】』
聞いたことのあるその詠唱は、以前クラッドがジークに見せていた地の上級魔法。
本来なら1体を全方位から攻撃する魔法が、今は1体1体の足下から土の棘が突き出す形に変わっている。
わざわざ詠唱したのは、これを行う魔力の消費を抑えるのと、1体1体に集中するためだったんだね。
それでも魔物の数が減ることはない。
倒しても倒しても、奥から増援が現れるからだ。
これ以上範囲の広い魔法を使えば、洞窟が崩れるかもしれない。
「くっ……一旦退こう。みんな集まれ」
悔しそうなリオンの声を聞いて、私達は何も言わずに彼に従う。
リオンがセリスに目配せすると、セリスは頷き、魔法を中断したジーク達の前に立ち、手を翳す。
「【アイスブリザード】」
翳した指先に浮かび上がった魔法陣。
それがゆっくり回転し始めると、陣の中心から白銀の息吹が勢いよく吹き出した。
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