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「さて、俺はこれから報告しにギルドに戻るが……お前達はどうする?」
こちらに身体を向けながら、リオンはみんなに訊ねる。
「俺も行く。中途半端で満足してねぇから依頼でも受けてくるわ」
「なら私も行くわ。アンタ1人じゃ何をやらかすかわからないからね」
そっぽを向きながらそう言うティナに、シンはやれやれとでも言いたげにため息を零した。
ホント、素直じゃない。
一緒に行きたいならそう言えばいいのに……。
「俺は訓練所に行くよ。ゴメンな」
「あっ、私も行く~。ゴメンね、みんな」
そう言い残し、2人は手を振りながら部屋を出て行く。
練習熱心なのはジークらしいし、そんなジークについて行くエミリアも彼女らしい。
「エレナは?」
リオン達の視線が私に集まる。
「私もパス。ちょっと疲れちゃった。ゴメンね」
軽く微笑み、みんなの返事を待たずに部屋を出た。
エレベーターで上に昇り、真っ直ぐ廊下を進んで自分の部屋を通り過ぎる。
辿り着いたのは隣の……クラッドの部屋。
私は鍵を開けて中に入った。
クラッドがいつ帰ってきても大丈夫なように定期的に掃除はしてある。
寝室に直行し、そこにあるベッドに身体を預けた。
――今日はよくクラッドのことを思い出したな……。
最後に転移した時、リオンの姿が一瞬だけクラッドに見えた。
今まで堪えてたけど、そろそろ限界かも……。
「生きてるなら……早く帰ってきてよ……」
ベッドのシーツを握り締めながら零した言葉は、静寂の中に消えていった。
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