43147人が本棚に入れています
本棚に追加
「ここだな」
ルミナの呟きを耳に入れながら、僕は目の前の洞窟をじっと見つめる。
奥の方が妙に青白い。
何だろう。何か嫌な感じだ。
「じゃあ行こうか。僕も入るのは初めてだから楽しみだよ」
「私も私も!」
そんな僕の気持ちがわかるはずもなく、2人は洞窟に足を踏み入れようとする。
僕とルミナも続こうとした、その時。
「待てよ」
今まで黙っていたクロスが口を開いた。
心なしか、その言葉は僕だけに向けられているように思える。
立ち止まった僕らは黙って次の言葉を待つ。
「そろそろ説明してもらうぜ。武器の復元ってのはどういうことだ?」
一瞬キョトンとした僕だが、すぐに全てを理解した。
――そっか。クロスは知らないんだった。
答え難そうな表情で戸惑う2人と、大方の事情を知る1人を視界の端に映し、僕は躊躇なく唇を震わせる。
「記憶がないんだ、僕」
クロスの眉がピクッと動いた。
これでいい。1日しか過ごしてないけど、クロスなら信用できる。
それに、同居人にこんな大事なことを秘密にしてるわけにはいかないしね。
最初のコメントを投稿しよう!