43164人が本棚に入れています
本棚に追加
《どうやら、覇王は仲間を見捨てて逃げたようだな》
ヤツの声は直接頭に響くため、距離を取っても一方的に声が届く。
あの野郎、好き勝手言いやがって……。
《信頼か? 果たして本当に戻ってくるかな?》
エレナ達の声は聞こえないが、明らかに挑発されているのがわかる。
まぁこんな安い挑発に乗ることはないと思うが……。
いや、心配なのが1人いるな。リオンが止めてくれればいいんだが。
3人がヴィネアの相手をしてくれている間に、ひたすら森の中を駆ける。
赤い光を避けながら走ること数分。ようやく目的の場所に辿り着いた。
目の前にいる6人に倣って俺も木の陰に身を隠す。
フィアに視線を向ければ、来ると思ってたとでも言いたげに首を縦に振る。
ヴィネアの聴力を警戒してか、決して声は発さない。
さすが6年の付き合いは伊達じゃない。俺の考えをよくわかってる。
俺も頷き返し、ジーク達に向けて人差し指を唇に当てながら、近くに落ちている手頃な木の枝を拾い上げた。
それを使って地面に線を走らせる。時折ジークとエミリアを指差しながら。
やがて作戦を伝え終え、最後の言葉を書き足す。
『頼んだ』
その文字を枝の先で指しながら顔を上げると、6人は力強く頷いてくれた。

最初のコメントを投稿しよう!