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村中 恵美との出会いは社内での隣の川に机が並んでからだった。
彼女は私に上昇気流があると見るやすぐに私を我が物にしようと気持ちを投げてきた。
私は彼女のキャリア的な発想が好きだったので受け入れておいた。
彼女は44歳で既婚。
アクティブな印象と少し田舎育ちを垣間見せる笑顔が印象的な女だ。
よく一緒に趣味のGOLFを練習しに行く事で二人の時間を作り、朝帰りをしたがお互いに家庭は大事にしていた。
彼女は社内の何人かと浮名を流してきていたが私もその一人になるのも癪だったので距離は置いてきた。
彼女の噂は女帝・小悪魔等色々だ。
チェックのシャツが好きな彼女を私はよく言葉で貶した。
「ダサ!なんかイモ臭いんだよね~」
「うるさい!もうあんたの前では着ない」
「そうしてくれ」
そんな会話も日常ではラブリーに感じ取っていたが、彼女を取り巻く環境と私を取り巻く環境が変化する時が来た。
ある嫌味な役員が彼女を自分の傍に置こうと画策し、私を排除する意向で人事をした。
彼女は私との決別を考えていたが、私が彼女に即時別れを告げた。
彼女の事を考えての私からの別れ。
彼女は好事と捉え私の提案を快諾。
”愛情なんか最初からこいつには無いんだな・・・まっ俺もこいつは適当に情報収集の為に利用しただけだからな。”
そう、私は彼女との付き合いに愛情は持っていなかった。
最初から社内の情報を取り付けるためのラインの一本として近付いただけ。
「恵美、お前さどこまでものし上がれや、俺はお前に利用されたままここでサヨナラしたるわ」
「そ、そんな・・・そんなつもりで私はあんたと付き合ってきた訳じゃ・・・」
「ただでさえお前は俺よりも職位が上じゃないか。俺を腹心にしておくことはお前に何よりもプラスに働いたろ?」
「ひどい・・・そんな風に思っていたの?もう嫌い・・・そんな人だったなんて・・・」
私は悪びれ、自暴自棄を演出し既婚のOLと別れた。
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